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マルモ・ピンコーラの冒険(最終回)

                               ザディクの最後(その4)

 最上階にある最高総司令官室を静かに回転させた。どこから見ても戦列にとどまっている艦隊はほとんど見当たらなかった。
  「エディクターノやヌーズヌーはどうした? ワラバンバやアフィンネやグランジュマは?」
同盟を結んだ連合国の将軍たちの名前をあげながら、ザディクはもしやという疑念(ぎねん)に捕われた。
  「みんなどこにいるんだ?」
 「各将軍閣下は、みなさまみんな、その帰国する戦闘艦に乗っておられます」
  「みんなだと!」
  ザディクは副官にかみつきそうな顔で怒鳴った。
  「そうです、みんなです」
  スカイザーは頭をたれた。
  怒りと屈辱感(くつじょくかん)、そして絶望感と深い悲しみがいちどにザディクを襲い、彼を打ちのめした。
  ザディク・ウィンドゥローはなんとか気持ちをおさえ、プライドを保つと、静かに、しかし力なく椅子に座った。長年の野望が氷のように溶けて崩れてゆくのが分かった。途方もないむなしさが体中に広がっていった。
  ふいに、大事なことをすっかり忘れていたことを思いだし、ザディクは思わず立ちあがってデスクから身を乗り出していた。
  「スカイザー、アンダダに捕えているふたりはどうした? あれは、大丈夫だろうな?」
  「いいえ」副官は弱々しく頭を振った。「警備の戦闘艦が帰国する友軍と行動をともにしたので、そのすきにバウ・デ・アララがあらわれ、両陛下を救出していったと、監獄の看守兵からつい先ほど緊急連絡がありました」
  「なんということだ!」
  ザディクは血を吐くような思いで声をしぼり出した。最後の望みも断たれたと思った。

  その後ザディク・ウィンドゥローがどうなったか、だれにも分からない。新天地を求めてブラック・ホールからホワイト・ホールに抜けたとか、ブラック・ホールの中で乗っていた宇宙船が破壊されたとか、いや自殺したにちがいないとかいろいろ噂されたが、いずれにしろ、ふたたびザディク・ウィンドゥローの姿を見た者はいなかった。
 

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